脳と体の癒しの追求

妙法寺のコンセプトは、「脳」と「体」の癒しの追求。禅の修行は厳しいと思われている方が多いようですが、私が実際に実践したとき、「楽しい!」と思いました。なぜなら、非常に贅沢な文化だからです。お香の香り、梵鐘の響き、境内の眺め、流れる風、おいしいお茶、座禅そして、黄檗宗の旋律のあるお経。和尚さんによって考え方が違うかもしれませんが、どれも「脳」のリラックス(ほぐし)を追求した結果として残っている作法、文化だと思います。これに、体をほぐすストレッチ(ヨガ)を加えると、心も体もバランスよく癒すことができると思いついたのが始まりです。
メディテーションやマインドフルネスという言葉で表現されますが、意識の向け方を変えるだけで、見えていなかったものが見える、感じていなかったことを感じることができます。
人生をより善くする方法の一つとして、禅のメディテーション法のポイントをご紹介しておきます。

1.呼吸法

背筋を伸ばし座禅または瞑想の姿勢で、鼻から息を吸い、腹式呼吸でお腹いっぱいに酸素を取り込みます。お腹がぺったんこになるまで、口からゆっくりと息を吐ききります。これを数回繰り返し、呼吸を整えます。自律神経は自分の意識では制御できませんが、唯一、呼吸だけが自律神経に関与できます。

2.集中と脱力

ずっと寝ているだけでは脳はほぐせません。何かに集中することで脳の緊張を高めます。仕事でも趣味でもなんでもよいのですが、雑念を取り払うための集中です。座禅でもよいし、写経、写仏もよいでしょう。次に、完全に脱力させます。「脱力してください」と言っても、人間の体はどこかに力が入っています。手足は脱力しやすいですが、意識しないと脱力できていない部位があります。それは顔です。特に、眉間、ほっぺた、口の周りです。全身を脱力しながら、顔に意識を向けて脱力してください。そうすると、どんな顔になるでしょうか?ヨガでは「シャバアーサナ(死体のポーズ)」といいます。仰向けで寝て、手のひらを上に向けて天空のエネルギーを受けます。全身を脱力し、顔の緊張を取ります。顔の緊張が取れていれば、自然に口が開きます(人に見せる顔ではないですが)。
集中と脱力。この落差で、日々のストレスで凝り固まった「脳」をほぐすことができます。集中と脱力のメリハリをつけて、呼吸に注意しながら、1日1回実践するだけでも、心と体が楽になってきます。

禅のメディテーションの中で、姿勢と呼吸法は重要なポイントです。加えて、集中と脱力法を会得できれば、脳は活性化し、生産性の向上とともに、日々の生活をより善くすることができそうです。非日常の環境にある本堂や境内、お香、お茶、梵鐘の響き、風の流れ、鳥や虫の鳴き声など、意識を向けながら集中と脱力を実践してみてください。何かとストレスフルな社会の中で、自分の中で何かが変わってきたと感じるようになるでしょう。