仏教は物理学

仏教とは、お釈迦様の教えであり、お釈迦様が発見した人類の知恵でもあります。その根本にある考え方は「因果」です。

「因果」とは、原因と結果のことです。すべての事象には必ず原因(要因)があり、それらの相互作用として結果が生まれるというのが根本にある考え方です。また「因」に、「縁」というそのときの周囲の状況が作用することで、多様で複雑な結果が生じると説いています。これを「因」「縁」「果」の法則と言います。

すべての事象(結果)には、必ず要因があるという考え方は、現代物理学などの科学の根底にある考え方と同じです。つまり、お釈迦様の教え・知恵とは、まさに科学であるということです。

加えて、お釈迦様は実在した人間です。お釈迦様は、人間の苦しみは、何が原因で生まれてくるのかを追求しました。苦行を行ない、ガリガリに痩せてしまったのも、苦しみの原因を探るためだったのではないかと想像します。苦しみの要因を探る中で、お釈迦様は、我々の住むこの世界がどういう世界なのかを知る(悟る)ことになります。このお話は長くなるので、結論だけ書き添えておきますが、「我々の住む世界(三次元空間)は、空(高次元空間)という世界の一部であり、空の世界は実在し、我々の世界と相互作用している。このことがわかれば、心おだやかに、愛情をもって生活できますよ」ということです。我々を含む地球上の生命体は、一時の宿としてこの世界に仮住まいさせていただいているという感覚です。そして、お釈迦様の教えの根底にあるのは「慈愛」です。このお話はまたの機会に。

仏教をこのような視点で見ると、小住としては「仏教は宗教というよりも科学だよね!」と捉えています。

2600年もの歴史がある仏教には、多くのお釈迦様の弟子たちが、お釈迦様の言葉を経典にし、多様な洞察を行い、その過程でたくさんの経典(お釈迦様の知恵を記したもの)がでてきました。とても読み切れる量ではありませんが、多様な教えがあります。初期は小乗仏教として、どちらかといえば、修行僧自身の内なる目覚めを中心とした教え、その後は大乗仏教として、そこに住まう人々が、どうしたら幸福になれるか、心穏やかに生活ができるかにフォーカスされてきました。

多くの人々が、お釈迦様の知恵に帰依(きえ)すれば、この世界は確かに幸せになると考えます。「帰依」という語は、聞き慣れないかもしれませんが、簡単に言えば、「十分に理解し実践すること」です。

代表的なお釈迦様の知恵としては、

・むやみに生き物を殺してはいけません。
・人の物を盗んではいけません。
・嘘をついてはいけません。
・不倫をしてはいけません。
・お酒を飲んで(泥酔)してはいけません。

これを行うと不幸になりますよ!という教えです。実際、これを実行して不幸になっている人や組織をよく見ますね。

続いて、三毒(貪瞋痴:とんじんち)があります。

・貪(とん):あれも欲しい、これも欲しいという貪り
・瞋(じん):恨んだり、憎しみんだり、怒ったり
・痴(ち) :愚かな行為、愚痴、妄想、無知

三毒は人間という生き物が侵されやすい毒なので、特に注意しましょうね!というお釈迦様の分析結果です。この毒に侵されると、周囲もその人自身も不幸になってしまいます。粉飾決算や、従業員を大切にしない経営者や、人を大事にしない政治家や、店員に暴言を吐くカスタマーハラスメントや、あおり運転をやる人などは、この三毒に侵されています。現代社会は三毒に侵されている人が増えているのかもしれません。

続いて、どうすれば幸せな生活を送れるのかを教える「八正道」

正見・正見・正語・正業・正命・正精進・正念・正定

これも長くなるので、ここでは説明をしませんが、確かに、上記を皆が実践すれば、愛情に包まれた、居心地のよい社会になります。例えば「正語(しょうご)」。表面的には「正しい語を使いなさい。暴言を吐いたり、汚い言葉を使ってはいけません」という教えですが、お釈迦様の根底にある「慈愛」の精神を含めると「相手の状態をよく観察し、相手にとって愛情のある言葉をかけなさい」という意味です。現代は情報化社会にあって、SNSなどで匿名個人から発信が簡単にできるようになったのは良いが、心ない発言や誹謗中傷が蔓延するようになりましたね。皆が八正道の1である「正語」を実践するだけでも、この世界が良い社会になりますね。

話を戻すと、仏教は宗教という感覚よりも、科学的思考が強い教えです。自分の行いは自分に戻るという因果(自業自得)も科学的な教えと言えるでしょう。般若心経に説かれる世界は、現代物理学や量子論が気がつきはじめた、我々の存在する宇宙とは何か?を示しています。

物理学者のアインシュタインは、下記のような言葉を残しています。

「未来の宗教は宇宙的宗教でなければならない。それは個人的な神を超越し、教理や神学を避けなければならない。近代科学の必要に応じることができる宗教があるとすれば、それは仏教であろう。」

The religion of the future will be a cosmic religion. It will have to transcend a personal God and avoid dogma and theology. … If there is any religion that could respond to the needs of modern science, it would be Buddhism.” Einstein, as quoted by Ricard & Thuan, in The Quantum and the Lotus, 2001.