理科系禅僧からのお話:第3話「直感と違和感」

今回は「直感」と「違和感」のお話

日々、仕事をしたり、遊んだり、生活している中で、「あれ?!」と思ったことは誰にでもあると思います。些細なことだったり、理由もなく「なんかおかしいな!」と感じたり。こういった「直感」とでもいう感覚。あるいは「直感」として気づく前の些細な感覚。「違和感」とも表現できます。

このような直感や違和感は、記憶力の高い人であれば、後になってから、それが具現化して、「あのときの違和感は、こういうことだったのか」と気づくことが多々あります。良い具現化もあれば、悪い具現化もあります。

人口知能にはできない、人間が持つ、この「直感」や「違和感」という能力。この感覚を意識して、日々、気をつけて過ごしていると、難を逃れたり、成功に導いてくれたりします。

「ん?なんかおかしい」とか、「違和感」を感じたときは、一度立ち止まって、心を落ち着けて呼吸し、その違和感の要因にどんな事象があるのか、洞察してみましょう。洞察で要因がわかれば、その後、どういう結果が出てくるのか推察することができます。一方、ほとんどの場合、この「違和感」は見逃しやすいものですし、その後、何が起こるのかは想像できない場合が多いです。理屈で考えても、そのときには要因が見えないときもあります。

それでも、「違和感」を感じたときには、そのことを忘れずに意識に留めておきましょう。忘れないようにするということです。その違和感が些細ではなく、強い違和感の場合には、いったん、その活動を止めてみるのも一つの手段です。また理屈で自分を縛るのをやめてみることです。理屈とは、自分の知識や経験をもとに論理立てするものですが、その中には、かなりの思い込みや自分の願望が入っていたりします。いわゆる執着心です。都合の悪いことを見ない(気づかせない)ようになります。これでは、正しく事象を把握できません。般若心経には、「心を覆うものを無くせば、本当の事象が見えてくる。一度、正反対から事象を見るようにすると本当の事象が見えてくる」と書かれています。

自分の都合を排除し、客観的にものを見るように訓練し(マインドフルネストレーニング)、違和感を忘れないようにしていると、あるとき、その要因に気づけます。違和感の要因を早めにキャッチすることができ、その対応策を取れる確率が高くなります。

この記事を書いている拙僧も、あのときの違和感を放置していなければ異なる展開ができたな!と思い返されることが多々あります。特に若い人に言いたいのは「直感」や「違和感」を感じたとき、それを放置して忘れないよう、意識に留めて、その「直感」や「違和感」の要因を日々、洞察することをお勧めしたい。また「違和感」のある状態で、嫌なことを続けない方が良いということです。自分の好きな仕事や、自分の好きな趣味をやっているときのほうが直感力は高まります。結果として成功する確率が高まります。自分の「直感」や「違和感」を大事にしましょう。

それから、「直感力」を高める方法として、深い呼吸、1日何回か静かな場所に身をおくこと、十分な睡眠と健全な臓器を維持することです。瞑想なども良いでしょう。ストレスのある状態に置かれた脳や体では「直感力」は低下します。十分な休息やリフレッシュも成功するためには大切です。拙僧は、たまに温泉に行ったり、マッサージを受けに行っています。