「マインドフル」とは、心が満たされた状態。脳が安定している状態。
マインドフルネス講座へ参加される方が増えてきました。受講される方々の受講動機に合わせて説明を変えていますが、回数を重ねていくと、マインドフルになるためのポイントが見えてきます。
今回は、そのポイントの1つをご紹介。それは「感謝の気持ち」を持てるか?ということ。
誰かに助けてもらった、親切にされたなどの場合には、「ありがとう」という気持ちが出ます。これは、ごく自然なこと。いっぽう、普段当たり前にある事象については、人は気がつかないことが多い。例えば「空気」や「水」。これらが無いと、生物は死んでしまいますが、当たり前にあるものと思っていると、そのありがたさに気がつかない。「両親」「伴侶」「家族」「友人」もまた同様。そして、この地球環境も同様。
一つの例ですが、四苦八苦と呼ばれる、人間に生じる苦しみの中で、「愛別離苦」というものがあります。愛する人との別れは辛く、苦しいものですが、この世界に生まれた以上、いつか必ず訪れることです。いつか必ず別れは来るのですから、それが正しく理解されていれば、日々、愛する人を大切にしようという気持ちが生まれてきます。そうすると心は穏やかになり、「マインドフル」になってきます。
ブッダは、すべての物は移ろいゆく(変化していく)。そういう諸法が支配している世界に、我々はいるのだということを、しっかりと認識しなさい(正見)と説いています。この事実を正しく認識できれば、様々な事象について、感謝の気持ちが湧いてきます。いやな競争相手に対しても、競争者がいるから頑張れると解釈もできます。普段当たり前にある事象を、マインドフルネス(正念)を実践(集中・観察・洞察)し、自分の周囲の状況、当たり前のことを含めて、良いことに気がつけるかどうか。ここがポイント。
現在、コロナ禍によって苦しい状況に陥っている方が増えていますが、自分の置かれている環境や周囲の事象を、深い呼吸をしながら、よく観察・洞察してみましょう。悪いことばかりではない。良いこともたくさんあることに気づけるかどうかです。
良いことに気づき、どのようにそれが成立しているのかを洞察していくと、「ありがたい」という感謝の気持ちが湧いてきます。そのとき「脳・心」は「マインドフル」となり穏やかな状態になっていきます。穏やかな脳・心は正見/正思を生み出し、困難があろうとも、正しい判断ができるようになります。