子育て中の親の悩み

最近、住職への相談が増えている「子育て」に関する親の悩み

子供が不登校になった、引きこもっている、なかには自傷行為をするなど。子供を取り巻く環境の中に、なじめない人間関係があったり、将来への不安や、満たされないストレス等々があるのでしょう。

親としては心配が尽きませんが、大切なことは、指導する立場にある「親」自身が動揺していたのでは適切な指導や助言はできません。子供と話をするとき、自分の価値観を中心においていませんか?子を思うあまりに、親自身が精神的に不安定であったり、子供の将来に対する不安にさいなまれたりしてませんか?そんな状態では、適切に指導もできないしばかりか、実態を把握することもできません。まずは親が呼吸をして不安を取り除き、冷静になることです。

子供を心配するあまり、そのストレスから、ついつい子供に怒鳴ってしまったりしていませんか?自分のストレスから出た口調や言葉を子供にぶつけていませんか?まずは自身の心の状態を呼吸しながら観察してみましょう。自身の状態が冷静であるかどうかです。子供に期待しすぎることや、現状から子供の将来を心配して妄想することも動揺を生み出します。そのような過剰な期待や妄想は捨ててしまいましょう。そうすることで、親自身の動揺が減少し、冷静になることができます。

勉強ができないとか、人とうまく付き合えないとか、活動が停滞したからといって、そんなものは一時的なものです。子供は大人が思うほど弱くはありません。ただし、悪い友人がいるとか、学校にいじめ等がありそうであれば、休ませるなり、転校させるなり、逃げ道を探してあげることが必要な場合もあるでしょう。

子供は親とは別の人格ですし、好きなことや得意なことは親とは異なることもあります。子供に自分の価値観やエゴを押し付けていませんか?子供は知識や経験が少ないので視野は狭いものです。見えている選択肢も少ない。親は冷静に子供を観察して、その子が興味のありそうなことを紹介したり、その子の特性をよく観察して、興味のありそうな分野を一緒に探してあげましょう。子供の不安を取り除く、様々な選択肢を話してあげましょう。

不登校になったり、引きこもっている子供は、実は他の子供よりも感受性も高く、また能力が高い場合があります。高校大学と進学して優良な会社に勤めるだけが仕事ではありません。能力の高い子供は将来実業家になるかもしれませんよ。いろいろな選択肢を見せることも大切です。

親であっても、子供は親の持ち物ではありません。別人格として尊重して接する、言葉を選んで話すことが大切です。そして、一番大切なことは、どんな状況になっても常に愛情を持って接する、子供の話を聞く(傾聴)ことです。ただ聞くだけでもよいのです。

小学生ぐらいまでは、やっていいことと、やってはいけないことを、理由を加えて教えましょう。しかし中高生ぐらいになると、もう親の言うことは聞かなくなります。そこからは、苦しいし心配ですが、親ができることは愛情を持って見守ることしかできません。ああしろ、こうしろと言うわず、愛情を持って見守る、話を聞くだけです。なにか問題を抱えたら子供が相談がしやすい環境を作っておきましょう。